HOME >> 津軽塗の塗模様

津軽塗の塗模様

代表的な4種類の技法

津軽塗は、代表的な4種類の技法(唐塗、七々子塗、錦塗、紋紗塗)をもち、これらを基に作られている。
技法的には、髪漆<きゅうしつ>(塗りの技法のこと)研ぎ出し変わり塗りであり、 すべての技法が漆を数十回塗り重ね、研磨仕上げを施す三百年以上も変わることなく受け継がれてきた伝統技術である。 故に津軽塗は模様であり塗りである。 底から発する奥行きがあり、器にへばりついた力強さがある(多くの産地の漆器は塗装した上に模様が付いている)。
詳しい津軽塗の工程については下記をご覧ください。津軽塗4技法の工程

唐塗(からぬり)

唐塗 呂上 唐塗 赤上

津軽塗の代表格であり、現在最も多く生産されている。 唐塗独特の複雑な斑点模様は、何度も塗っては乾かし、そして研ぐという作業を繰り返し、 全部で四十八の工程から生み出される。完成までには最低でも一ヶ月半~二ヶ月を要する。

津軽塗の技法において唐塗の歴史は長く、正徳五年(一七一五年)には既に「唐塗之御文箱~」と書かれた記録が見受けられる。 「唐塗」という名は、もともと中国からの輸入品を唐物と呼んでいたことに由来する。 「優れたもの」、「珍しいもの」いう意味で、当時の社会風潮を反映して「唐塗」と命名されたものと思われる。

唐塗の文様の基礎を作る道具を仕掛べらと呼び、これによって凹凸が生まれる。 仕掛べらによる絞漆の凸模様を基本として塗膜面に現われる模様を「唐模様」といい、 唐模様を主体にして仕上げられた漆器類を「唐塗の塗物」や単に「唐塗」と呼んでいる。

唐塗の塗技法


七々子塗(ななこぬり)

唐塗 ななこ塗 黒 唐塗 ななこ塗 赤

ななこ塗は研ぎ出し変わり塗りの技法の一種で、その特徴は、模様をつけるために菜の花の種を蒔き付けることである。 菜種による小さな輪紋の集まりが魚の卵を連想させる模様から、「七子」「魚子」「菜々子」「斜子」などの文字が当てられている。

津軽塗におけるななこ塗の歴史は定かではないが、津軽塗独自の塗とは思われない。 例えば延宝六年(一六七八)の加賀藩の工芸標本『百工比照』の中に、「ななこ」の名称が見られる。 また小浜藩の藩医が延宝年間に記した書物にも「魚子塗」の言葉が見える。こうしたことから、おそらく藩政時代に他藩との交易ルートを通じて伝播したものと思われる。

七々子塗の塗技法


紋紗塗(もんしゃぬり)

唐塗 紋紗塗 唐塗 紋紗塗

黒漆の模様(多くは線描を主にした総模様)に紗(津軽地方ではもみ殻のことを紗と呼ぶ)の炭粉を蒔き、 研ぎ出して磨き仕上げされたものを紋紗塗と呼ぶ。

今日まで明治維新以後の作例は少なく、現在では一般製品としてはあまり見かけられなくなってしまった。 紋紗塗という名称の意義や発祥の経緯も適確に掴むことは出来なかったのだが、紋紗塗の一つの原則として、 炭粉と黒漆を主体にした一種の変わり塗りで、固定された技法ではなく、もっと変化自在の多様性を持っていたとされる。

また、紋紗塗は研ぎ出し技法の中で最も独特なもので、津軽塗ならではの塗であると言える。

紋紗塗の塗技法


錦塗(にしきぬり)

唐塗 錦塗 唐塗 錦塗

錦塗はななこ塗の変化の一種で、ななこ地に黒漆で桜を唐草風にデザインした唐草や、 菱形・稲妻型の紗綾形を描き錫粉を蒔いて錦を想わせるような華やかな技法である。

作成のためには非常に手間がかかり、さらに高度な技術を要する。 そのため現在、錦塗を塗り上げれる津軽塗職人はごくわずかしかいないという。 そのため製品も少なく、非常に価値が高い。

錦塗は、現代まで伝わる津軽塗四技法の中では最も新しく、 華やかな金や銀の蒔絵に憧れた庶民たちの思いが結集した、絢爛豪華な塗の技法である。

錦塗の塗技法