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津軽塗4技法の工程

津軽塗4技法の工程

津軽塗の工程は、まず下地を塗りその後それぞれの塗模様の工程を行い、上塗りをして完成する。

  1. 下地
  2. 唐塗七々子塗 紋紗塗錦塗
  3. 上塗り

堅下地(津軽塗特有の堅牢な下地)

津軽塗の下地は、漆下地の中の一種である本堅地と呼ばれる技法が用いられている。
まず木地の形や表面を整えた後、直接漆を塗布して、堅牢に固め(木地固め)をし、木地の割れ・狂い・ヤセ等の支障を防ぐために(布着せ)をする。 漆に米糊・地の粉、または砥の粉を混ぜ合わせた漆を篦を用いて繰り返し塗布し、最後に平滑に研ぐ。

No 工程名 内容
1 木地磨き 木地表面を研磨紙で整える
2 木地固め 下地漆を摺り込む
3 刻苧彫り 刀で合わせ目を彫る
4 刻苧 こくそ (一回目) 刻苧漆を付ける
5 刻苧(二回目) 刻苧漆を付ける
6 刻苧はだけ 刻苧鉋・荒砥で研ぐ
7 布つもり 布着用の布を裁断
8 布着せ 布を糊漆で貼る
9 布払い 余分な布を取り除く
10 くくり地付け 地漆を付ける
11 くくり地研ぎ 荒砥で研ぐ
12 地付け 地漆を付ける
13 地磨き 荒砥で研ぐ
14 切粉地付け 切粉を付ける
15 切粉地磨き きりこじみがき 細目の荒砥で研ぐ
16 錆付け さびつけ 錆漆を付ける
17 扱き錆 こきさび 細目の金剛砥石で研ぎ、錆漆を付ける
18 錆研ぎ 赤砥、名倉砥で研ぐ
19 中塗掛け 模様付けをしない箇所(重箱の裏、裏面等)に中塗漆を塗る

唐塗(からぬり)

多彩な研ぎ出し変わり塗の基本となる技法で、色漆の断層が美しい重厚な雰囲気の塗りである。 卵白を入れた黒色漆を仕掛けベラを用いて斑点模様を付け、 その上に色漆を塗り重ね、砥石や炭で研磨すると切断面が現れ独特の模様が現れる。

唐塗の特徴とイメージ画像

No 工程名 内容
1 仕掛漆調合 絞漆を作る
2 仕掛け 仕掛漆の模様付け・乾燥
3 塗掛 色漆を全面に塗る
4 彩色 塗掛の上に彩漆を散らす
5 呂塗 素黒目漆を塗る
6 妻塗り 色彩を加え調整
7 上げ塗 地色となる漆を塗る
8 荒研 粗目の砥石又は、耐水研磨紙(#240〜400)で平らに研ぐ
9 中押研 粗目の砥石又は、耐水研磨紙(#400〜600)で平らに研ぐ
10 仕上げ押研 細目の砥石又は、耐水研磨紙(#800〜1,000)で平らに研ぐ
11 扱き塗(一回目) 上げ塗で使った漆を篦を用いて扱くように塗る
12 扱き研 粗目の砥石又は、耐水研磨紙(#240〜400)で平らに研ぐ
13 扱き塗(二回目) 上げ塗で使った漆を篦を用いて扱くように塗る
14 仕上げ研 細目の砥石又は、耐水研磨紙(#800~1,000)で平らに研ぐ
15 炭はぎ下 摺り漆で固める
16 炭はぎ 炭・耐水ペーパー(#1,200〜1,500)で平らに研ぐ
17 千遍下 せんべんした 漆の吸い込みが止まるまで摺(すり)漆をする
18 千遍こぐり 油砥の粉で細かい傷をとる、胴摺りとも云う
19 摺漆 生漆で擦り込み拭ききる
20 重ね摺 和紙で拭き上げる
21 艶付(一回目) 艶粉(チタン粉)やコンパウンドで磨く
22 摺漆 生漆で擦り込み拭ききる
23 艶付(二回目) 艶粉(チタン粉)やコンパウンドで磨く
24 摺漆 生漆で擦り込み拭ききる
25 仕上げ艶 艶粉(チタン粉)やコンパウンドで磨く
26 唐塗完成  

七々子塗(ななこぬり)

魚の卵(ななこ)を思わせる江戸小紋風の粋な塗りである。
刷毛塗りした漆の濡れ塗膜に菜種を蒔き付け、乾燥後に菜種を剥ぐと輪状突起が残り、 これに地の色となる漆を塗り込み、研ぎ出すと小さな輪文が現れる。

七々子塗の特徴とイメージ画像

No 工程名 内容
1 中塗 錆研ぎ面に中塗漆を塗る
2 中塗研 砥石で研ぐ
3 種漆塗 種漆を均一に塗る
4 種蒔 塗布した面に菜種を蒔く
5 種はぎ 菜種の実を篦で剥ぐ
6 殻取 剥ぎ損なった実の殻を取り除く
7 種研 砥石で研ぐ
8 上げ塗 地色となる彩漆を塗る
9 荒研 種研より細目の砥石で輪紋を研ぎ出す
10 扱き塗(一回目) 上げ塗で使った漆を篦を用いて扱くように塗る
11 扱き研 砥石で平らに研ぐ
12 扱き塗(二回目) 細目の砥石又は、耐水研磨紙(#800〜1,000)で平らに研ぐ
13 中研 砥石で平らに研ぐ
14 扱き塗(三回目) 上げ塗で使った漆を篦を用いて扱くように塗る
15 仕上げ研 細目の砥石又は、耐水研磨紙(#800~1,000)で平らに研ぐ
16 炭はぎ下 摺り漆で固める
17 炭はぎ 炭・耐水ペーパー(#1,200〜1,500)で平らに研ぐ
18 千遍下(2〜3回) 漆の吸い込みが止まるまで摺り漆をする
19 千遍こぐり 油砥の粉で細かい傷をとる、胴摺りとも云う
20 摺漆 生漆で擦り込み拭ききる
21 重ね摺 和紙で拭き上げる
22 艶付(一回目) 艶粉(チタン粉)やコンパウンドで磨く
23 摺漆 生漆で擦り込み拭ききる
24 艶付け(二回目) 和紙やガーゼで拭き上げる
25 摺漆 生漆で擦り込み拭ききる
26 仕上げ艶 艶粉(チタン粉)やコンパウンドで磨く
27 ななこ塗完成  

紋紗塗(もんしゃぬり)

艶消しの黒地に、艶のある黒漆の模様が、光線の当て方によって浮き出てくる渋い塗りである。
黒漆で絵や紋様を筆で高肉に盛り上げて描いた後、漆を塗布し籾殻の炭粉を蒔き付け乾燥後、 研ぎ出すと炭粉の中から模様が現れてくる。

紋紗塗の特徴とイメージ画像

No 工程名 内容
1 中塗 錆研ぎ面に中塗漆を塗る
2 中塗研 砥石で研ぐ
3 下絵描 和紙に模様描き
4 下絵押 下絵を器物面に転写
5 模様描 黒絞漆又は黒呂色漆で筆描き
6 紗蒔(一回目) 荒目の紗と細目の紗(籾殻の炭)を蒔く
7 荒研 余分な紗を払い落とす
8 紗蒔(二回目) 細目の紗を蒔く
9 仕上げ研 細目の砥石又は、耐水研磨紙(#800〜1,000)で平らに研ぐ
10 炭はぎ 炭・耐水ペーパー(#1,200〜1,500)で平らに研ぐ
11 千遍下 漆の吸い込みが止まるまで摺り漆をする
12 千遍こぐり 油砥の粉で細かい傷をとる。但し、凸部のみ
13 摺漆(一回目) 生漆で擦り込み拭ききる。但し、凸部のみ
14 重ね摺(二回目) 和紙で拭き上げる
15 艶付(一回目) 艶粉(チタン粉)やコンパウンドで磨く
16 摺漆(三回目) 生漆で擦り込み拭ききる。但し、凸部のみ
17 艶付(二回目) 艶粉(チタン粉)やコンパウンドで磨
18 摺漆(四回目) 生漆で擦り込み拭ききる。但し、凸部のみ
19 仕上艶付 種種、角石で磨き上げる
20 紋紗塗完成  

錦塗(にしきぬり)

ななこ塗を基本とした錦風の豪華な雰囲気の塗りである。
黄と朱色で市松模様にぼかし塗りしたななこ地に桜唐草、紗綾型を筆描きし、緑色の隈取りを添え、 錫粉を加えた朱漆を刷毛塗りし、研ぎ出すと、模様が輪文にさえぎられ、柔らかに見え隠れする。

錦塗の特徴とイメージ画像

No 工程名 内容
1 中塗 錆研ぎ面に中塗漆を塗る
2 中塗研 砥石で研ぐ
3 種漆塗 種漆を均一に塗る
4 種蒔 塗布した面に菜種を蒔く
5 種はぎ 菜種の実を篦で剥ぐ
6 殻取 剥ぎ損なった実の殻を取り除く
7 種研 砥石で研ぐ
8 下絵描 和紙に模様を筆描きして乾かす
9 下絵押 模様を器物に転写する
10 模様描 唐草模様と紗綾形の模様を筆書きする
11 隈取 唐草模様の周囲を緑の彩漆で陰影を付ける
12 粉蒔 朱漆を塗布した上に、顔料と錫粉を混ぜた物を蒔き付ける
13 粉止 粉を蒔くときに使った漆で定着させる
14 荒研ぎ 粗目の砥石又は、耐水研磨紙(#240〜400)で平らに研ぐ
15 こき塗り(1〜2回) 上げ塗りで使った漆を篦を用いて扱くように塗る
16 中研ぎ 粗目の砥石又は、耐水研磨紙(#400〜600)で平らに研ぐ
17 仕上げ研ぎ 細目の砥石又は、耐水研磨紙(#800〜1,000)で平らに研ぐ
18 炭剥ぎ下 摺り漆で固める
19 炭剥ぎ 炭・耐水ペーパー(#1,200〜1,500)で平らに研ぐ
19 千遍下(2〜3回) 漆の吸い込みが止まるまで摺り漆をする
20 千遍こぐり 油砥の粉で細かい傷をとる、胴摺りとも云う
21 摺り漆(2〜3回) 生漆で擦り込み拭ききる
22 摺り漆(2〜3回) 生漆で擦り込み残し気味に拭きとる
23 仕上げ艶 艶粉(チタン粉)やコンパウンドで磨く
24 錦塗完成  

上塗

最後の仕上塗として、上塗漆をヘラで均等に配り、上塗刷毛でならすように延ばし、全面に均一な厚さに塗布する。 塗布後、鳥軸などで節上げをする。